2007年 02月 06日
そうなんです、解禁が本格的に始まってしまうと精神的肉体的に疲れる要因が多くなり、あまり本を読まなくなってしまいます。 ですから、ほとんど禁漁期間中しか本を読む機会があまりありません。 で、ワタクシが最近読んだ本をここに紹介すると・・・ 伊坂幸太郎著・・・「アヒルと鴨のコインロッカー」 ・・・「重力ピエロ」 絲山秋子著・・・・・「海の仙人」 井上靖著・・・・・・・「氷壁」 安部公房著・・・・・「箱男」 最初の3冊は最近の本でストーリーも軽快であった。 「アヒルと鴨のコインロッカー」は主人公がワタクシの子供達くらいの年代なのだが、まったく違和感無くストーリーの展開も面白い。 読み終わって数日経つと本を読んだというより、NHKの1時間枠ドラマを4週続けて見たような感じがした。 この作家なかなかいいかも、と思って続けて買ったのが「重力ピエロ」・・・う~~ん作りすぎ。 ムリがある、読んでてツッコミを入れたくなる。 「海の仙人」は文庫サイズで160ページほどの薄い本だ。 が、しかし読み終わったあとは3倍くらいのページを呼んだ気がするほど非常に充実しており、無駄にダラダラ長い描写満載のストーリーよりよほど読み応えがあった。 井上靖は大学生のころ読んだ「しろばんば」が始まりで、その後何冊かは読んでいた。 多分、小説を読みながら涙が止まらなくなった経験は、このときが初めてだったように思う。 そして最後に涙したのは一昨年あたりに読んだ川上健一の「雨鱒の川」なのです、キャッ、はじゅかしい。 のちに映画化もされたが、まあ、まったくの別モンに化学変化させられちゃっていて、「ボクの青春を返してぇ」と涙声で強く訴えたい。 当時から湯ヶ島へ好んで釣りに行っていた。 物語の中に描かれる古い湯ヶ島の情景が、普段自分が見慣れている現在の湯ヶ島の情景と何の違和感も無く心の中で溶け合っていた。 夕まずめの釣りが終わり民家の並ぶ夜道を歩いて帰るとき、ふと目にする土蔵の窓からおぬい婆さんがこちらを見ているような・・・。 5月の湯ヶ島の夕まずめの匂い。 今ここで深呼吸しても思い出される。 で、とっくに読んでいたと思い込んでいた「氷壁」、本屋でどんなストーリーだっけ?と思い、パラパラページをめくるがまったく記憶に無い。 あら?読んでなかったのか、それともワタクシの脳に何か異常がおき始めておるのか?! 買って読んでみたらワタクシの脳はまだ大丈夫なのであった。 昭和30年代でなければ決して描けない重厚お話。 携帯電話やインターネットがある現在ではもどかしささえ感じてしまう。 それをいっちゃあおしまい、な訳なのだが。 会話を含めた人と人との関係、ものの言い回し方、松本から上高地へ向かう40年ほど前の景色などにノスタルジーを感じる。 最後に、今いやいや読んでいるのが、安部公房の「箱男」なのです。 昔、「砂の女」を読んで若かったワタクシの心のドロドロやグズグズを引っ掻き回してくれた本。 読み終えて目が濁り肺が溶けそうになっていた数日後、偶然にも深夜に勅使河原宏監督の映画「砂の女」が放映された。 岡田英二と岸田今日子が見事にはまり、バックに流れていた音楽はいまだに強烈なインパクトがある。 いま、ネットで調べたら武満 徹が音楽担当だったんだなあ。 あの音楽聴きながら小説読んだら間違いなくアッチへ行ってしまうのではなかろうか。 で、「箱男」なのであるが、これもとっくに読んでいたと思っていたが未読であった。 たぶん以前に文庫本を買って持っていたはずだ。 でもなにか理由があってか、読んでいなかったのである。 いま、2/3ほど読んでぐったりし始めてる。 このまま読み終えてよいのだろうか? まずいんじゃなかろうか。 もう四十代も後半だし、いまさら心の奥底に沈殿し乾燥しガビガビになっているドロドロやグズグズを再び溶解してしまうんではないのか? ヤバイヤバイ今のワタクシの心情では、この「箱男」のダンボールをかぶって生活すると言うなんともシュールなライフスタイルに異常に心引かれちゃっているのであります。 早く解禁しないかなあ、まずいよこのままじゃワタクシ。 あちこちの川ではもうすでにバシバシライズが始まっているのになあ。
by flyfishist
| 2007-02-06 21:12
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