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Flyfish*ist

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2012年 03月 12日

a silent prayer from the Kano River.

今日は午前と午後の遅い時間に仕事がありました。
その間の数時間を、3.11である今日という日の14:46をどこで過ごそうか・・・。

大好きな狩野川本流の流れのど真ん中で迎えよう。
どうにか間に合うように午前中の仕事を切り上げ、
やっとやっと咲き始めた河津桜の幼木が並ぶ狩野川の堤防に車を止めたのが13:30でした。

晴天に恵まれ1年前とはうって変わってとても暖かな日です。
遊歩道にもなっているこの堤防上の小路には、たくさんの家族連れやカップル、ジョガーやサイクリストで賑わっていました。

なんて穏やかで平和な休日の午後なのでしょう。
a silent prayer from the Kano River._f0064359_04414.jpg




でも、そこにいた人々の表情の裏側から、皆それぞれ複雑な秘めた思いが滲み出ているような気がしました。

ケイタイのアラームを1分前の14:45にセットして、連日のまとまった雨で重く太くなった狩野川の流れをずんずん真中までウェーディングしていきます。

やがて、明るく軽やかなアラーム音がシャツの胸ポケットから振動と共に、ワタクシの胸奥深くにまで響きます。
リールを巻いて、まるで魚を捕っててくる気のない頼りないフライをフックキーパーにかけました。

ふと対岸の堤防の上を見ますと、ひとりの老人が北東方向を向いたまま直立不動で立っています。
間もなく伊豆の国市の防災サイレンが、この広い狩野川の流れの真ん中にまで聞こえてきました。
1年前亡くなった方、いまだに行方不明の方、その家族友人、そして日本中の人々の悲しみを音にしたような、
五臓六腑に沈殿するような低いうなり声にも似たサイレン音。

堤防の上の老人をあらためて見てみますと、手を合わせうなだれているようにも見えます。
ワタクシも心を無にして東北方面に見当をつけ、ロッドを小脇に抱えながら手を合わせ目を静かに閉じます。

足の膝から下を清らかで冷たい狩野川の流れが永遠に流れ続けています。
まるでワタクシの身体の中に流れる血のように、力強く流れ続けています。

目を閉じて間もなく、予想もしなかったことがワタクシに起こりました。
胸が苦しくなり、のど元が熱くなり、狩野川の流れのしずくが温かくなって目から滲み出てきたのです。
なんかこんなところで、と少々戸惑いましたが、どうせだだっ広いこんな川の真ん中にいるワタクシの表情など誰からもわかりはしません。
幸いにも乾燥した暖かな春の強い風が、あっという間に目元の湿気を拭い去ってくれました。
a silent prayer from the Kano River._f0064359_0444411.jpg



やはり釣り成分80%で組成されているこんなワタクシにも、この1年間で震災が引き起こしたさまざまの事が相当精神にダメージを与え続けていたんですね。

亡くなられた方、いまだ行方不明の方、「一人一人」に改めて思いをはせたいと思います。

by flyfishist | 2012-03-12 00:51 | フライフィッシング | Trackback | Comments(2)
Commented by somebin at 2012-03-12 15:23 x
私はまだ川に立っていません。いつになったらその気になるのか自分でも・・・・ちょっとやられてしまっていて、自分を取り戻すためにも川に行きたいと思ってます。昨日仮設での慰霊祭にお手伝いに行ってきました。印象深いことがありました。14:46に合わせて黙とうのため、会場でNHKラジオを流しました。黙とうの終了をMCが伝え、「次に内閣総理大臣、野田・・」といったところで住民の方がスイッチを切りました。仮設のみなさんの気持ちが表れている象徴的な行動です。心の中で拍手しました。
Commented by flyfishist at 2012-03-12 21:14
somebinさん、多分釣りにはまだ行っていないようだなあ、と思っていました。
でも、本来釣りってこういう心情の時にこそ効力を発揮するものでもありますよ。
そこは純粋にフライフィッシングを楽しまれてもいいように思います。

・・・以下、長文になりますのでブログ本文にアップします。


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