人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Flyfish*ist

flyfishist.exblog.jp
ブログトップ
2011年 02月 17日

探偵オジャック・・・?

本日、人と会う約束があり浅草へ行ってまいりました。
何度か行ったことがある気になっていましたが、
それは何度も映画やテレビなどで見た映像で疑似体験しているに過ぎなかったのです。

ちょっと時間があったので二天門あたりをカメラを持ってぶらついておりました。
すると、先ほどから黒のハーフコートを着た40代の男がチラチラとワタクシの様子を伺っております。
小さなショルダーバックとカメラバッグも持っています。
髪型は黒光りのするオールバックで、一昔前のデザインの四角い銀縁メガネをかけております。
明らかにワタクシのスキを見計らって、その眼鏡の奥から鋭い視線を投げかけてきます。

ムムッ!!!
久しぶりにズンズン感じる「猟奇」の匂い!
オオッ!!!
あれは1970年代後半、青林堂のガロを読み漁ってた青き腐りかけてた時代。
かわさき・・・そう、川崎ゆきおの「猟奇王」だ!


その漫画の主人公の姿が頭の中によみがえった瞬間、オレの心のスキが巨大化してしまったのか、
奴はそれを見逃さず右斜め後ろからすすっーと近寄り囁くようにこう言った。

「探偵オジャックさんですよね。」

オレは明らかに動揺した。
奴をこの目でしっかり見据えてやろうと、足を地べたにしっかり踏ん張り後ろをゆっくり振り返った。
奴の姿は二天門のちょうど真ん中に入り、まるで大きな朱色の門を背負っているようにも見えた。
オレは、へんてこなひきつった笑顔を晒してしまっていたように思う。
目玉がブルブルと小刻みに振動してしまっているのか、奴の表情が細かく読み取れない。

先ほどの言葉がよく聞き取れなかった、というように、
オレは視線を奴の口元へ移し、声を出さずに「え?」と言って見せた。

「探偵・・・オジャックさん、ですね。」

間違いない。
奴は、きっぱりそう言ったのだ。

「一度もお会いしたことはありませんが、分かりましたよ、雰囲気で。」

今度は少し力の抜けた、安心したような口ぶりで完全に断定されてしまった。

「いや、・・・違いますよ。人違いです。」



あれからもう30数年経っているのです。
そうやすやすと猟奇の世界へ舞い戻ってたまるもんか!
ワタクシだってもう立派な大人なんだ!
なめられてたまるか!
今なら自信を持って言えます。
「人違いだ。」と。
「住む世界が違うんだ。」と。

きょとんとした奴の顔には、先ほどまでの猟奇的雰囲気はすでに微塵も無く、
ポカンとしております。

「あのぉ、人違いですよ。」

「あっ、すみません。初めて会う人とここで待ち合わせしていたもんで・・・。」
「事前にメールでお聞きしていた服装と容姿が似ていたもんで・・・。」



探偵オジャック・・・。
一体、ナニモンなんだ。
ワタクシと似ているオジャック、・・・探偵。

ワタクシの約束の時間が迫っています。
奴は再びキョロキョロまだ見ぬ探偵オジャックを二天門前で探しています。
その時、まさにその二天門の左側から一人の背の高い中年男が現れたのです。


探偵オジャック・・・?_f0064359_23575027.jpg

フツーの中年オッチャンでした。
果たして、探偵オジャックは猟奇の「りょ」の字もないしょぼくれたオタク系オヤジなのでした。
何かを期待していたワタクシは、彼らの初対面時に行う儀礼的な挨拶様式にさらにがっかりし、
遅れそうな約束の場所へと向かったのであります。


探偵オジャック・・・?_f0064359_0201173.jpg

2時間ほどで商談を終え、ビルから再び通りへ出ると、
先ほどほんのわずかな時間でしたけれど、
1970年代後半へタイムスリップしてしまったようなあの奇妙な感覚が今はもう全くなく、
なぜか少し安心したのでした。

通常の生活を送るけがれ無きおじさんに対し、
いきなり目つきの鋭い奴から「あんたは探偵オジャック」などと断定されてしまったら、
誰だって心乱れるでしょ、というお話でした。

by flyfishist | 2011-02-17 00:21 | 大好きなモノ | Trackback | Comments(2)
Commented by jacamano at 2011-02-17 22:34
探偵オジャック、思わずググッてしまいましたよ(笑)
謎ですね、、でflyfishistさんはいつ頃伊豆に出没ですか?(笑)
Commented by flyfishist at 2011-02-18 12:15
jacamanoさん、
一応というか当然ワタクシもググっておりますが、
どうやらネット上にも出ない超極秘任務のようです。

伊豆は、・・・3月1日に行きます!ハイ!


<< 2011年 長良川第2弾!      八百屋の長さん >>