2011年 02月 11日
今回の八百長相撲騒動が起きる数日前から、 偶然にも、川上健一著の「渾身」を読み始めておりました。 隠岐島に伝わる古典相撲をえがいたシンプルで力強いストーリーです。 その相撲は二十年に一度しか行われず、島内が大いに盛り上がる様子がわかります。 各地区から選ばれた力士たちが、 その地域や親族家族の名誉と威信をかけまさに真剣勝負を夜を通して繰り広げられます。 そのなかでも、水若酢神社のある五箇地区から選ばれる最高位大関と、 他の数地区から一人だけ選出される大関との最後の対抗戦はまさに真剣勝負そのもの。 大関に選ばれるだけでも大変栄誉あることなのですが、 その勝負に勝つことが何よりもの大勲章となるわけです。 そしてその勝負に勝ったものが、土俵の柱をもらうことができるのです。 ただその最後の大一番に仮に東の大関が勝ったとすると、最後にもう一番同じ大関同士で戦わせ、 なんと、先ほど勝った東の大関が負け、西の大関を勝たせるという決まりがあるのです。 つまり、両方の大関が勝ったことにしそれぞれが土俵の柱をもらえ、 のちのち各地域にぎくしゃくした関係を残さない、という配慮です。 そしてその取り組みを行った大関同士は生涯にわたって義兄弟という付き合いになるといいます。 もちろん最初の取り組みが真剣勝負なわけですから、そちらの勝者が最も称えられるのですが。 つまりその最後の人情相撲も含めて相撲なのでありますね。 大相撲を普通のプロスポーツとして捉えるのは大きな間違いであると思います。 単なるスポーツであるなら、なんでまげを結い、まわしを着け土俵に塩を撒く? 全く機能的ではないし理論的でもありませんよね。 今回のような金銭のやり取りを行ったということはもちろん論外です。 いろいろ変えなくてはいけないことがあるのも事実でしょう。 でも、大相撲はもっとユルく見守ってあげてもいいんじゃないでしょうかね。 隠岐古典相撲
by flyfishist
| 2011-02-11 14:32
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